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YAMANARI

徳島市街地から車で1時間ほどの山間部に、まるで覆い被さるような緑を目の当たりにして、自然に恵まれた周辺環境に感動を覚えました。しかし日常生活の中で、その環境に接しているとその雄大な美しさになかなか気づき難くもあります。山深く自然豊かで緑に囲まれた環境をできる限り取り入れながら、そして負担にならない程度にその美しさに気づく瞬間が得られるような空間を提案したいと思いました。またクライアントからの要望は、大きく三つで「旦那さんの趣味の部屋」「明るくて開放感のある住空間」「母屋と不即不離の距離感」でした。


徳島の特産品である「すだち」を生業にしている農業家の若夫婦のための住宅です。高台に位置し幸にして外部からの視線を全く気にしなくてよかったため、谷側を極めて解放された空間を作ることができました。リビングを2階に配置、また半階上がったところに畳コーナーを設けて今までとは違う視点高さで東側に見渡せる山の緑を大開口の窓で取り入れています。また隣に建つ母屋と穏やかな関係を作りたくて、内と外の境界が曖昧な大きな土間スペースと吹き抜けた階段室を設けています。南側に当たる母屋に面した2階の吹抜けには窓を取らない事で母家とは程よい距離感を持ち、天窓によって木漏れ日のように光が降り注ぐ明るい空間になります。しかし1階土間スペースは引き戸を開ける事で母家と一続きとして使うことも可能です。


インテリアはできる限り屋外の環境とのシームレスに繋がるようにナチュラルな素材を用いています。吹抜けとの境界線に当たる壁にはラワン合板を用いています。また土間吹抜け空間には、外部との繋がりを感じるためにフレキシブルボードを鎧戸張りや下見板と言われる貼り方で貼っています。床材には、無垢のアカシアフローリングを貼っています。

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