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​Detour

 アパートメントの一室をリノベーションした住宅である。クライアントの夢や希望を叶えたいと思って設計を行う事は当たり前なのだけれども、建築家として建築に託す思いも、また設計への動機や熱意となっている。学生の時から考えている事は、さほど変わっていないのだが伝え方や表現は変化している。最近では「ソトを見つけ出したい」と言っていると思う。そこで、アパートメントをリノベーションするにあたり、外はあるのだろうか?と言うところから創めることになった。アパートメント建築の場合は、確かに外はあるけれど、至高の景観でもない限り積極的に繋がっていることは少なく思う。宇宙船のように外はあるけど、船内の環境にとっては外は無いのと同義なのだと感じる。果たしてそれでいいのだろうか…自分達のカタチが分からなくなりそうである。
 一般的なアパートメントの計画では、中廊下に居室やトイレなどが配置され奥にLDKが鎮座する。生活の中では一目散に目的地へ移動する。非常に無駄がない。しかし、この計画では目的地へ向かう時にルートを複数見つけることとなる。右からでも左からでも、住人には常に寄り道への誘惑が付き纏う。街中で…ふと裏の街路を通って寄り道をするような期待や予感を感じることができる。本来は外から不干渉な内でありながら、ソトが干渉することで、ウチの状況や関係が浮かび上がる住宅である。

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